骸ツナ(リボーン)
決して手の上にキスをしない。
何故なら手の上のキスは尊敬のキスだから。

決して額の上にキスをしない。
何故なら額の上のキスは友情のキスだから。

決して頬の上にキスをしない。
何故なら頬の上のキスは厚情のキスだから。

決して唇の上にキスをしない。
何故なら唇の上のキスは愛情のキスだから。

決して閉じた目の上にキスをしない。
何故なら閉じた目の上のキスは憧憬のキスだから。

決して掌の上にキスをしない。
何故なら掌の上のキスは懇願のキスだから。

決して腕と首にキスをしない。
何故なら腕と首へのキスは欲望のキスだから。

僕は君に尊敬も、友情も、厚情も、愛情も、憧憬も、懇願も、欲望さえも投げかけない。
そんな感情は全く持ち合わせていない。
僕が君に焦がれる理由、それは異色の感情。
狂気にも似た、執着心。
だから僕は、手の上にも、額の上にも、頬の上にも、唇の上にも、閉じた目の上にも、掌の上にも、腕にも、首にもキスをしない。
だって僕のキスは、みな狂気の沙汰だから…



ナナちゃん妄想(ギアス)
お兄様には恋人が居ません。
私が寂しがるから恋人は作らないらしいってミレイさんがこっそりと教えてくれました。
私には咲世子さんもいるし、生徒会の皆さんや、お友達だって居るから寂しくないのに。
あ、分かっちゃいました!
きっとお兄様は恋人を作らないんじゃなくて、作れないんですわね!
でも何で?
モテないのかしら?
でも確かシャーリーさんはお兄様の事が好きって聞いたことがありますし…
シャーリーさんは水泳部で健康系美少女らしいからナヨナヨなお兄様じゃ付き合いきれないのかしら?
それじゃあ理由として弱いですね。
じゃあ〜…
本当に好きな人としか付き合わないとか決めてるのかしら?
お兄様の本当に好きな人って誰?
イケイケ系元気な美少女なミレイさん?
病弱で儚げなカレンさん?
眼鏡とおさげがチャームポイントな控え目美少女ミーナさん?
私としてはユフィお姉さまみたいな可愛らしい方が良いんですが…
って私の好みはどうでも良いですよね。
お兄様の好みの問題ですもの。
失敗失敗なのです。
生徒会の皆さんは個性が強くてダメですか?
お兄様は強い女性が苦手そうですし。
女性にこだわるからダメなのかしら?
女性以外…?
あ、そ、そんな…
でも今流行り(?)ですし…
でも綺麗かも知れないし…
お兄様の隣にスザクさんを並べたらきっと綺麗だと思いますの。



『ルルーシュ…』
『スザク……』
熱っぽく見つめ合う二人。
『ナナリーには内緒だよ』
『あぁ…』
スザクさんにそっと抱きつくお兄様。



綺麗ですわ!!
人目を忍ぶ恋なのですね。
人に言えないなんて可哀想です。
「お兄様、頑張って下さいね」
「ナナリー?」
不思議そうな声を出すお兄様に、私は厚情のキスを贈ります。
頬にキスを。
お兄様に厚情を…





スザク裏表。(ギアス)
殺して…
殺さない。

見付けないでくれ…
見付けて欲しい?

どうすれば良い?
どうにも出来ない。

分かってる。
分かってない。


絡まる糸は、解こうとする意思に比例して更に絡まる。
まるで此方を困惑させて楽しんでいるかの様に。


解こうとしている?
説こうしている。

君を、守りたい。
アイツを助けたい。

どうにも出来ない所まで来ているのは分かってる。
それでもどうにかしたいと願うのはワガママでは無いのか。

互いの掌を差し出して、互いが互いにキスをする。
互いに懇願をする、そんな……そんな関係。
向かいあい、顔はきちんと見ているのに顔を背けている気がするのは何故だろうか。
答えは望まない。
望むのは、ただ、君と二人で見る夢のみ…




ヒバツナ(リボーン)
知ってる?
キスは噛みつきたい程好きだって表現が由来だって。
そんな話を君にしたら君はあからさまに脅えていた。
まるで兎が狼に狙われているのをしってしまった様にビクビクと脅える様は、可愛いと思えるのは君だけだよ。
僕は君を咬み殺したい訳じゃない。
だって殺したら君の可愛い表情が見れないじゃないか。
僕は無反応なお人形には興味が無いからね。
だから、首や腕にキスをする。
所有の証の刻印を。
綺麗な紅色が浮かび上がる様に。
君が他の誰かのものになってしまわぬ様に…
君は僕だけのもの…




アスキラ(種)
ねぇ、アスラン?
君が言う『好き』はどの好きなの?
兄弟の好き?
友達の好き?
恋人の好き?
僕の『好き』は恋愛感情の『好き』だってことは自覚してるよ。
でも、アスランは僕のことなんてどうでも良いように思える。
今だってカガリを愛しそうに優しい眼差しで見つめながら話していた。
あ…こっち向いた……
不意にアスランが僕の方に何かを感じたのか、近寄り話し掛けてきた。
「どうかした?」
「別に」
そう、別に何も無い。
でも、気付かないアスランに腹がたった。
だから僕は身を乗り出してアスランの唇にキスをする。
愛情と、僕の想いを沢山詰め混んで…
僕の気持ちに気付かないアスランを責める様に…




スザ→ルル(ギアス)
軍の仕事が思ったよりも早く終わり、学校へと僕は足を進めた。
時計を見ると、もうすぐ下校時刻だが、生徒会はギリギリまで仕事をしている事
が多いので、皆が居る事を期待してクラブハウスの中に入る。
もう残っている生徒が少ないせいか、少し静かな雰囲気が漂っていた。
生徒会が使っている一室の扉を開く。
軽い音がして、扉は僕を迎え入れてくれる。
「あれ?」
だが、中に入ったものの、誰もおらず、折角皆に会えると思っていたのに面食らってしまった。
しかし、窓際の椅子に座っている人物を発見してしまった。
きっと生徒会の時間に居眠りでもしていて、そのまま誰にも起こされずに放置でもされたのだろう。
きっとそうに違いない。
不意に自分に良いように解釈して、自分を待っていてくれたのだと思い込みそうになるが、そんな事は無いと頭をぶんぶんと振り、一人邪念を振り払う。
近付いて行き、そっと相手の名前を呼ぶが、全く反応が無い。
顔を覗き込むが、かなり熟睡しているようだ。
夕日に晒された髪がキラキラとして、艶な質感が浮かび上がる。
夕日のせいだと分かっているのに、頬が上気しているように見えた。
僕はそんな彼にさえ欲情してしまいそうだ。
でも知られてはいけない。
一生の片想い。
だから僕は彼の額の上に友情のキスをそっと落とした…
愛情ではなく、友情のキスを…




スザユフィ(ギアス)
少しお転婆かと思う部分もあった。
大人しそうな外見に、不釣り合いとも言える行動力。
でも、そんな貴女は凛々しく、僕の知ってる誰よりも美しかった…

〜手の上に尊敬のキスを…〜

僕が忠誠を誓った女性(ひと)は、静かに棺に眠っている。
返り血で染まったドレス姿ではなく、死者の世界に旅立つ清楚なドレス姿で。
大量虐殺なんてしたのは本当に彼女の意識なのだろうかと疑いたくなる。
特区を本当に、心から望んだユフィ。
日本人のためにと、少々敵を多くしても進もうとしていた未来。
微笑む表情。
僕は無器用だから気のきいた喩えは無理だけど、柔らかな笑顔は癒しを与えてく
れた。
悲しそうな顔は、心から悲しそうで、見ている此方さえも一瞬にして悲しくさせ
る。
そう言えば、出会いはユフィが空から降ってきたんだっけ…
空から降って来るわ、猫と会話するわ、突然僕を騎士にするわ…
流石ルルーシュの腹違いとは言え妹と言うべきか、発想が一般的では無かった。
ブリタニア王族ってみんなそうなのか?
「スザクくん、もうそろそろユーフェミア皇女を式の会場に移すって…」
セシルさんが、様子を窺いながら僕の肩を心配そうに、ゆっくりと触る。
日本で言うところの、お葬式がもうすぐ始まるにあたり、ユフィの棺は今の部屋
から動かされる。
「セシルさん、少し待って頂けますか?」
セシルさんの了承を得、運ばれる前にと思い、僕は物言わぬ彼女に跪く。
永遠の、彼女への忠誠を誓って…
僕はユフィの手の上に接吻をする。
愛してはあげられなかったけど、あらゆる面に対して尊敬していたよ、ユフィ。
おやすみなさい、またすぐに君と再会出来ると思うけどね…
またね、さよなら…




ルルスザ(ギアス)
「俺の目を抉ってくれ」
そうスザクに懇談した。
能力の暴走。
自分が狂気じみてしまっているのは確信していた。
もうどうなっても良いと思えた。
でも、どうにかしたかった。
だからスザクに懇願した。
ゼロの正体がバレて、闘う運命にあるとしても、親友で居られなくなることが分かって居ても。
それでも、俺はスザクは特別だった。
初めて出来た友人だったからかも知れない。
初めて恋した人だったからかも知れない。
自分では何故スザクだけは特別に感じるのか不明だった。
でも、スザクじゃなければ嫌だった。
目を抉ったら能力は消えるのだろうか。
そんな事は分からない。
でも、一握の望みを賭ける…




ラクキラ(種)
憧憬。
憧れ。
そんな言葉で片付けられないのです。
でも、キラにはそんな言葉が良く似合う。
人々の憧れの視線を背負い、宇宙(そら)を駆ける。
私のものでは無いけれど、私のものにしたい衝動。
どうか貴方がみんなの憧れでありますように。
貴方の閉じた瞳に、唇が触れた…





自分に厳しく、他人に甘く。
恋人はそんな奴。
彼の何処が好きなのか、自分でも不意に不思議に思う。
何気に可愛い顔をしているくせに、腹の中は真っ黒。
深海の魚だって住めやしないぐらいの黒さだ。
ノリもよく、話も楽しい。
が、自分に不利な話だとスパスパと斬っていく。
自分勝手だよね。
そんな奴に捕まった自分が敗者だと、気づき始めたのは今日この頃。
はぁ、捕まっちゃったもんは仕方ないかな…